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歯の豆知識Tooth Trivia

2023.03.15

入れ歯を検討されている方へ

入れ歯を検討されている方へ、治療の流れや費用についてご紹介します。

はじめに 入れ歯の役割とは?

食事をする際、歯は食べ物を咀嚼して飲み込みやすくする大切な役割を果たします。
何らかの理由で失われた歯がある場合、その機能を補う治療が必要です。

歯の機能を回復する治療にはインプラントやブリッジなどもありますが、入れ歯は比較的安価で治療期間が短いというメリットがあります。
インプラントのような外科手術が必要なく、残っている歯の本数に関わりなく治療できるので、失った歯の機能を補う治療としては大きな選択肢になります。
ここでは入れ歯治療の流れ、治療の種類と費用、メンテナンスの方法などについてご紹介します。
失った歯のある方はなるべく早く対策を始め、残った歯を長く守っていきましょう。

一章 入れ歯治療の流れ

入れ歯治療を始めるにあたり、まず行われるのがカウンセリングです。
今困っていること、目指したい状態、治療内容、保険適用の有無などを歯科医師と相談します。
特に保険適用の有無は、費用と仕上がりに大きく影響します。
保険適用の治療は費用が安く抑えられる分、使用できる材質が制限されるので、耐久性や見た目は劣ります。

とはいえ、しっかりとした技術のある歯科医院であれば、保険適用の入れ歯でも十分に噛むことができます。
保険適用外の治療は費用が高額になりますが、入れ歯の材質や治療の選択肢が増え、より自分に合った入れ歯を作ることができます。
治療期間は保険適用外の方が長くなる傾向がありますが、出来上がった入れ歯はより長持ちし、メンテナンスの頻度も少なくて済む場合が多いです。

また治療中に仮歯を入れる場合、あらかじめ保険適用外にしておく必要があることもあります。
保険適用の有無は治療開始後は変更できないので、歯科医師と十分に相談しましょう。

入れ歯の治療は大まかに3段階に分けられます。

1.口腔内の状態の確認、型取り

入れ歯を作るのに必要な型を取ります。
虫歯や歯周病などがある場合はこの時点で治療します。
精密に型を取るため、複数回型取りを行う場合があります。

2.咬合採得

噛み合わせを決めていく段階です。
型を元に作った咬合床を治療箇所に取り付け、噛む位置を調整していきます。

3.設計、試適

型から作った模型と咬合床を元に入れ歯を設計します。
咬合採得で決められた噛み合わせで人工歯を取り付け、実際に患者の口に取り付けて調整を行います。
問題なければプラスチックなどから入れ歯を作成し、微調整をして完成となります。
噛み合わせを決めていく作業などは歯科医師と患者様が協力して行います。
痛みや違和感がある場合はその都度歯科医師に説明し、双方が納得できる形で治療を進めていきましょう。
入れ歯を使い始めたばかりだと異物感などを感じますが、使っていくうち徐々に慣れていきます。治療後は入れ歯のケアや口腔内の状態を確認するため、3~6ヶ月ごとに定期検査を受けましょう。

入れ歯は3~5年で新しく作り替える必要がありますが、素材や口腔内の状態によってはもっと長く使える場合もあります。
作り替えの時期についても、定期検査などで歯科医師に相談しましょう。

二章 入れ歯の種類と費用は?

入れ歯の種類と費用は、保険適用の有無で大きく変わります。
保険適用の場合、アクリルレジンというプラスチックの樹脂が主な原料です。
部分入れ歯の場合、歯列に入れ歯を固定する留め具には金属が使われます。
そのため見た目の違和感や、劣化のしやすさといった問題があります。

費用の目安としては3割負担の場合、
部分入れ歯 3000円~10000円
総入れ歯(片側) 5000円~15000円
となります。

治療期間の目安は1~2ヶ月ほどです。

保険適用外の自由診療では、入れ歯の材質に制限はありません。

そのためシリコンや金属床、セラミック、チタン、白いプラスチック製の留め具などが使用でき、より薄く丈夫に作ることが可能です。

保険適用に比べて劣化しにくく、見た目の違和感も小さくなります。
既にある歯根やインプラントの人工歯根にマグネットを取り付け、磁力を利用して入れ歯を固定するといった自由診療ならではの治療方法もあります。

自由診療の治療期間は2~3ヶ月かかる場合が多く、より精密に設計できます。
そのため装着時の違和感が小さく、外れにくいというメリットがあります。
とはいえ口腔内の状態は常に変化しているので、半年に1度程度は定期検診を行って噛み合わせなどを確認しましょう。

性能はとても優れている自由診療の入れ歯ですが、その分費用は高額になります。

自由診療の費用は歯科医院ごとに大きく異なりますが目安として、
部分入れ歯 30万円~60万円
総入れ歯(片側) 50万円~80万円
となります。

治療内容によっては100万円以上かかる場合もあるため、あらかじめ歯科医師から十分な説明を受けて判断しましょう。

費用をかければよりよい入れ歯を作れるようにも思えますが、実際に入れ歯の出来不出来を決めるのは歯科医師や歯科技工士の技術面が大きいです。

治療費も大切ですが、医師の人柄や口コミなどもしっかりと見て、信頼できる歯科医院で治療を行いましょう。

三章 入れ歯のメンテナンス

入れ歯は定期的な歯科医院でのメンテナンスと日々のケアが大切です。

毎日口に入れるものなので、手入れを怠ると口腔内環境が悪化して虫歯や歯周病を招き、雑菌の繁殖によって呼吸器疾患などのリスクが増加します。

メンテナンスのタイミングは食後と就寝前です。

食事の後は入れ歯を外し、自分の歯を磨くのと同様、歯ブラシで優しく丁寧に汚れを落とします。

歯磨き粉を使うと研磨剤によって傷がつくことがあるので控えましょう。

就寝前は、食後と同じようにブラッシングした後、市販の入れ歯洗浄剤などで洗浄、殺菌を行います。

規定されているやり方で洗浄し、水で十分に洗い流してください。
就寝中の入れ歯の着用は一般的に勧められていませんが、残された歯や顎を守るために着用した方がよいケースもあるので、歯科医師の指示に従いましょう。
残っている歯や歯茎の健康を保つことも、入れ歯を長く使い続けるには欠かせません。

部分入れ歯を使っていると、入れ歯を支えている歯に歯垢がつきやすくなります。
歯茎を傷つけないよう、優しく丁寧に磨きましょう。

砂糖を含むものを頻繁に飲み食いしたり、左右どちらか一方の側ばかりで噛むなど、口腔内環境や噛み合わせを悪化させる習慣は控えることが大切です。
口腔内を健康に保つことが、将来的な入れ歯治療に伴う負担を軽減することにもつながります。

おわりに 早めの治療が大切

1本くらい大丈夫だろうと、抜けた歯をそのまま放置している方がいらっしゃいます。
たとえ咀嚼には問題がなくとも、歯がない場所があると、両隣の歯がだんだんと傾いたり、向かい側にある歯が伸びてきたりといった問題が起こります。

噛み合わせが悪化し、結果的に複数の歯を抜かなければならなくなる状況を招くこともあります。

歯はしっかりと生え揃ってこそ機能を発揮できるので、たとえ1本でも欠けた歯があったら、なるべく早く治療をしましょう。

入れ歯などで失われた機能を補完することが、残された歯を長く健康に保つことにつながります。

 
歯科医師 院長 森川真作

歯科医師 院長

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